旭岳の遭難特殊事情

10月、旭岳はもう雪の季節です。
この時期困ることといえば、遭難事故です。昨年も、一昨年もありました。

まずは9月の話から。
遭難事故は春でも夏でも時々ありますが、
今年の9月は、低体温症、道迷い、道迷いの末の日没&疲労や怪我など、みんな次から次へと遭難していきました。
旭岳土木作業員も、遭難者を探しに行ったり背負ったり担架で運んだりしました。また通りすがりの登山者が発見したり手伝ってくれたりして、とても助かりました。
後日お礼の菓子折が届いて、おいしいなあ、ではないのです!
菓子折は生きていたから届いたのです。
この中で、立て続けに2件、姿見の池の散策路を歩いていて登山道に迷い込んでしまった事故がありました。
散策路の分岐点には標識も立っています。
しっかり足元だけを見て歩いていたのでしょうか。標識の向きも原因かもしれません。

そこでこんなものを設置してみました。
強制的に視界にねじ込む足元表示です。
見てください、これ。フリーハンド。
うまいですね、わたし。

そして三週間後、このざまです。
こうなると別の物に替える必要があります。

昨年は積雪のある時期だけ、登山道の入口に開閉式のロープを設置しました。“この先危険だけど行きたい人は開けてね”という趣旨の看板も添えておきました。通る時にワンアクションある、というのは効果的かな?効果的であれ!と思ったのです。
しかし残雪期、そろそろ外そうと思っていた頃、誰かに捨てられてしまいました。規制ととられたのかもしれません。が、どうか逆上しないでほしい。自分は注意書きのターゲットではないと思ったら、ただ開けて通ればいいんです。
これについては他の山岳関係者ですら理解が薄いことなので、ぜひ現実を伝えたい。そして看板と喧嘩しないでほしい。

旭岳・姿見の池散策路は目的も年齢も国も様々な人が、わらわら来ます。
散策路内で一番目立つ標識は昔作られたもので、外国語表記がありません。そのため特に外国人が登山道へ迷い込むことが多く、探しに行くこともしばしばです。無雪期は疲れて帰ってくる程度で済むかもしれませんが、積雪期は遭難事故に繋がることがあります。

ロープや看板などがあると、少なくとも意図的に登山道へ入る人以外の道迷いは防止することができます。オトウサンガ池見二行ッタッキリ帰ッテコナイヨ!とよくわからない外国語で訴えられたときに探す場所を絞ることもでき、気軽すぎる登山者にも注意を促します。
とはいえ、昨年はこの看板を越えて登山に出かけた人が4人も遭難しました。
悪天候などにかかわらず登山に出かける人はいます。これはもうしょうがないです。行かないほうが…と言ってもみんな行くし、声をかけると憤慨しながら逃げていく(ように見える)人もいるので、こちらもあまり深入りしません。
そして旭岳七不思議の仲間入り…
事情はこんな感じです。ご理解ください。

看板と喧嘩する人はほっとくとしても、なるべく外されない方がいいので、今年は少し違う方法を考えています。